豆腐屋は江戸時代?

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 上京あたりを歩いていると、古い町家が立て込んだ町並に、こんな古びた豆腐屋さんを見かけました。のれんを見ると何と創業・文 政年間(1818-30)とあります。「入山とうふ店」です。その住所も上京区椹木(さわらぎ)町油小路東入ル東魚屋町と、いかにも京都という感じです。 下の看板も由緒を感じさせるものがあります。江戸時代からあまり変わっていないのではないかと思わせます。私の好きな蕪村の「芭蕉庵再興の記」には、洛 東・金福寺で句会を催し、そんなとき付近の一条寺村の豆腐屋で調達するといった記述がありますが、その豆腐屋もこんな感じだったのでしょうか。

 なお、ここのご主人は今でも、改造したリヤカーを歩いて引き、ラッパを吹きながら、京の町を豆腐を売り歩いておられるようで す。あのなつかしい「トーフ」のラッパの音が、夕方の町に聞こえてくる風情は、子供のころの郷愁を呼び起こします。いつまでも商売を続けていただきたいも のです。

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