コロー風の散歩道には名水がにあう?
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・コローという画家をご存じでしょうか。
19世紀フランスの画家で、肖像画もたくさん描いたのですが、何と言っても森や木々といった、自然の神秘的とも言えるたたずまいを描いたものに特徴があります。


コロー「木々を抜ける小径」

・今回は京都の中で、私がもっとも好きな散歩道の一つを紹介しましょう。
・京都の街をあてもなく歩いていて、初めてこの小径を「発見」したとき、私は例えば上のようなコローの絵の中に迷い込んだような錯覚にとらわれたものでした。

・街の真ん中に、こんなにも緑深い小径があるとは、想像できませんでした。
・なにしろそこは、京都のメインストリートである河原町(今出川)から歩いて十分もかからない所なのですから。街の中から突然、バルビゾンの森に踏み込んだようです。
・この道は、御所の東の境と、梨木神社との間にひっそりとしてそこにあるのです。
・人はと言えば、時折り犬を連れた散歩の人が通るくらいです。
・私がコローの絵に最初に出会ったのは、大学の初年級のころ。第二外国語でとっていたフランス語の教材にネルヴァルの作品が取り上げられていました。その神秘的な雰囲気がとても気に入り、丸善でネルヴァルのペーパバックを見つけ、はじめてフランス語の本を買ったのが、コローの絵を表紙にした下の本だったのです。なぜかネルヴァルにはコローがよく似あいます。


・この梨木神社は萩が有名で、秋になると一面萩が咲き乱れ、萩祭りが開かれます。
・また境内には、京都で有名な名水の湧き出る井戸(「染井」と呼ばれている)があり、それを口にすると、ひんやりと生き返る心地がします。近くの人たちは、この水を汲んでコーヒーを立てたりするそうです。

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