御所のけもの道はポジティブか?
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・御所は、京都の中心部の広大な面積をしめています。緑が多く散歩やジョギング、自然観察など市民に親しまれているのですが、何せ広いので御所の向こう側に行くのに、自転車や徒歩では遠回りすることは大変です。いきおい御所の敷地を突っ切って行くことになります。
・御所のなかは小さな玉砂利が敷かれています。
・その広大な玉砂利の敷地には、よく見ると門から門へと続く、細い道ができているのです。この道は幅が15センチほどで、そこだけ玉砂利が少なくなって、堅い地面が露出しています。
・よく観察すると南北方向よりも、東西方向に多く、道もしっかりついているようです。例えば東の寺町御門から西の蛤(はまぐり)御門まで。
・これは何なのでしょうか。そもそもこれは何かの『ため』というものではないのです。何かの計画があったというわけでなく、単に一つの結果であるにすぎないのです。
・これはご想像の通り、自転車が通った跡、自転車のケモノ道なのです。御所の中を歩くのならば、細かい砂利が敷き詰められた広々とした敷地の中を自在に歩けばすみます。けれど自転車に乗ってこの砂利の中に突っ込むと、その走りにくさは格別です。砂利でタイヤが取られて倒れそうになるし、砂利を跳ね飛ばしたりして、平地の道路を走るような具合には行きません。
・そこでこのケモノ道に入ると、その15センチ程の狭い範囲には砂利は極めて少ししかなく、普通の道路を走っているのと変らない走りができるのです。時に小砂利を跳ね飛ばすけれど、それは走行にはたいした影響をあたえません。
・自転車がそのケモノ道を走れば走るほど、小砂利は跳ね飛ばされて、その道は強化される。また走りやすくなればなるほど自転車は集まってくる、というポジティプフィードバックがかかります。そんなわけで、自転車のケモノ道は、玉砂利で埋められる力に対抗して維持されることになるのです。
・このケモノ道は、自転車一台がようやく通れる程度の細さなので、対向車がくるときには、どのような経路をとるのかが問題になります。おおむねは、お互いに左側へ外れてすれ違うことになるのですが、相手がずうずうしい様子で、道を譲りそうもないときには早々と道をはずれ、逆に相手がかなり手前から道を譲るときには、ありがたくそのまま走らせてもらうことになったりします。