つめくさのあかり
五月の風爽やかな季節になり、このシロツメクサが咲くころになるときっと思い出すお話しがあります。上のタイトルを見てピンと来た方は、相当な賢治ファンとお見受けします。そう、宮沢賢治の「ポラーノの広場」というファンタジーです。
野原一面に咲いたツメクサの花に、夕暮れになるとランタンのようにあかりが灯り、それに番号がふってあるのです。そのツメクサのあかりの番号を五千まで数えると、何か神秘的で罪の匂いのする「ポラーノの広場」に行きつくというのです。
このツメクサのあかりは、実は空の星を投影したもので、最後に行きつくのは、北極星(ポーラースター)だ、という解釈をどこかで読んだ記憶があります。
いずれにせよ、五月の宵に、濃密な甘い薫りを放つシロツメクサの花には人を酔わせる魅力があります。