フラクタル野菜はいかが?

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 この数年、毎年早春になるとスーパーにこの野菜が並ぶことがあります。ブロッコリーやカリフラワーのようでもありますが、どちらでもありません。「うぐいす珊瑚」といった意味不明のタグが貼ってあります。風変わりな形に目がない私は、すぐに買わずにはいられなくってしまいます。私はこれを「フラクタル野菜」と名付けているのです。
 フラクタルとは、「自己相似性」をもっているような図形です。「自己相似性」というのは、その図形の一部を取り出しても、また図形の全体になるような性質です。写真を見て頂ければわかるように、一つ一つの房の形は、一株全体の形と同じになっています。

 その房の中の一房を取りあげると、これもまた一株全体と相似形になっている。そのまた一房を取ると・・・、と無限に続くことになるのです。現実には、無限にとはいかないのですが、それでも3−4回は、この相似性を認めることができます。

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 さて、家に買って帰ると、さっそく上の写真を撮影されたあと、一房ごとに切り分けて湯がかれ、フラクタル野菜はめでたく夕食のカレーライスの付け合わせとなったのでした。子どもたちにもシゲシゲと一ときながめられて、やがて胃袋に収められるのでした。味はまあブロッコリーと大差ないといったところでしょうか。

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