夏の夜の幻・カラスウリ
2001.7.24吉田山にて
今年の夏は、異様な暑さが続いていますが、そんな夏の闇の中に、妖しく美しく咲く花が、カラスウリです。黄昏れころから蕾が開きはじめ、午後8時ごろに開花します。開花すると花弁の細かな繊毛が四方に広がり、その見事さは、この世のものと思えません。
そして夜明け前には、もう萎れてしまう、そんな一夜の幻なのです。
カラスウリは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の中に、「烏瓜のあかり」として登場します。カラスウリは秋になると、オレンジ色の楕円形のかわいらしい実をつけます。「烏瓜のあかり」は、このまだ青い実をくりぬいてロウソクを立てたものと考えられます。物語りでは、これを子どもたちが川に流しているのです。
ここからすると、『銀河鉄道の夜』の舞台である「銀河のお祭り」は、今の7月ではなく、秋であることが分かります。