柊野・散り椿

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 「柊野」と書いて「ひらぎの」と読みます。加茂川を植物園からずっとさかのぼり、上賀茂神社を過ぎ、尚しばらく行くとこの柊野です。ここの個人のお宅に「五色散り椿」の、みごとな大木が花をつけています。三月初めに私が行ったときには、満開とまではいきませんがもうかなり咲いていました。この木はその筋には有名な銘木で、京都市天然記念物に指定されています。樹齢は約400年とか。
五色は淡紅、桃、桃地白覆輪、白地に桃の縦絞り、白の五色で、花びらが一枚ずつ散るという性質をもっています。

 上のような立派な門構えの農家です。私の行ったときには雑誌の取材がきており、おばあさんが手慣れた調子で解説をしておられましたので、私もいっしょに聞かせてもらいました。と、突然視界を横切る素早いカゲが・・・。と思う間もなく、おばあさんは「あっ、タヌキ!」と叫んでホウキをもって追いかけていったのです。確かにシッポの太い、まるまるしたタヌキだったのです。
 こんなにのどかな、柊野の椿の春なのでした。

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