六道の辻

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 8月7日から10日まで、東山通りから松原通りを西に入ったところにある六道珍皇寺で、お盆の精霊迎えの行事である「六道まいり」が行われ、大勢の人出でごった返します。この付近には六波羅蜜寺があり、ここでは同じ期間、萬灯会が行われています。「六道の辻」とは、このあたりのことを指し、昔は都の墓地があった鳥辺野の入り口にあたるそうです。

 またこの二つの寺の中間あたりの西福寺という小さなお寺には、六道地蔵尊の精霊迎えの行事も行われています。ここではお堂の中で各種の地獄絵が掛けられ、自由に見られるようになっています。その中で「九相観詩」という掛け物があり、これは一見に値します。解説によると、あるお后が、「自分が死んだら葬儀をせずに、遺体を野原に捨てよ。色欲に耽る者は私の身体が腐乱する有様を見て、少しは悟ることがあるだろう」と、遺言に命じて、その通りに実行された。その遺体の変化のあり様を九つの相に描いたという掛け物なのです。特筆すべきは、その観察描写の正確なことで、腐乱による遺体の膨張から、野犬や烏などに貪られ、ついには白骨に至る過程を克明に描いています。自らの遺体を遺棄させるというこのお后は、究極的な教育者であるように私には思えます(Memento Mori「死を忘るな」)。
その「九相観詩」をごご覧になりたい方は、覚悟をして次をクリックしてください(ただし気の弱い方は止めておかれるほうがよいと思います)。「九相観詩」はこちらへ。またもう少しくわしい「六道まいり」についてはこちらへ。

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