西脇順三郎 『皿』
「皿」
黄色い董が咲く頃の昔、
海豚は天にも海にも頭をもたげ、
尖つた船に花が飾られ
ディオニソスは夢みつゝ航海する
模様のある皿の中で顔を洗つて
宝石商人と一緒に地中海を渡つた
その少年の名は忘れられた。
麓(うららか)な忘却の朝。
西脇順三郎は、私のもっとも好きな詩人です。とくに詩集『Ambarvalia』。
この詩はその中のもの。かねて私はこの詩のイメージは上の皿絵に
由来しているのではないかと感じていました。これはひょっとして
新しい発見かも、
と思ってWebで検索してみたところ、
このページですでに指摘されていました。
残念!
それもずっと詳しく。脱帽です。
上の絵は古川晴風著『ギリシャ語四週間』からのものです。
画像の下のギリシャ文字は「汝自身を知れ」という格言。
なお、この詩集の復刻版はほるぷ社から出ていたことがあり
深紅の表紙のフランス装の素敵なもの。
これはエリュアールのある詩集にそっくりでした。
エリュアールも大好きですので、私にとっては
このことも好印象なのです。