緊急レポート京都のトンビ(鳶)は行動を変えて進化するか!?
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 2001年の元日、私は下鴨神社に初詣でに行きました。最近の下鴨神社はとみに人出が多くなっています。まずはお参りをすませ帰路につきました。

そこで、私は最近なんとなく無意識に感じていた思わぬ事実を、発見してしまったのです。まずは下の写真を見てください。

 冬枯れの木立ちに、鳥の群れが止まっている。この群れを見て、とっさにヒッチコックの映画「鳥」を思い出してしまいました。
しかもこの鳥は、スズメやカラスではなく、なんとトンビ(鳶)なのです。
 つい先頃までは、トンビというのは、京都ではごく数が少なく、京都の市街をとりまく東山などに起こる上昇気流に乗ってのどかに空を舞っているか、たまに鴨川付近に現れても、すぐに二三羽のカラスに追っかけられて、退散するというのがせいぜいのところだったのです。
 ところが、この半年ぐらい前から、この事情に変化が現れてきたのです。私が異変に気づいたのは、まず京都の鴨川名物のユリカモ メの数が極端に減ってきたように見えたことです。特に2000年の秋、鴨川やその上流の高野川・賀茂川に姿を見せるはずのユリカモメを私はほとんど見かけ ませんでした。前の年まで午後三時を過ぎるころになると、毎日鳥柱をなして大群をつくって、琵琶湖方面へ東山を越えて行くユリカモメの姿もこの秋には、一 度も見なかったのです。
 そういえば初冬になって、鴨川の河川敷で府立病院の辺りで、ユリカモメにパンくずをやっている人を見かけました。これは鴨川の 冬の風物詩といった感じの姿です。ところが、そのまわりには、ユリカモメばかりでなく、トンビも交じっていたのです。そこでは、トンビ撒かれる餌を求め て、ユリカモメを追いかけている場面さえ見られました。トンビに追われたらユリカモメは一たまりもなく、逃げ出す他はありません。こんなことが頻繁に起 こっているとするなら、ユリカモメにとっては、鴨川はもはや良い餌場とは言えないでしょう。今日までトンビが、人の撒くパンくずを求めて集まってくるとい うことは、漁港の近くならともかく、(少なくとも)京都市内では聞いたことがありません。
 またちょっと見た目でも、確かにトンビの数は増えているようです。このホームページでも、「木立の記憶1」で登場する木の枝に止まっている鳥はトンビなのです。
 このように、確かにトンビはその数を増やしているようで、しかもその増加はごく最近に起こっているようなのです。この原因の一 つには、トンビの行動様式の変化、人の近くに来て餌をあさる、あるいはパンを食べるといった餌の種類の拡大が与かっているように思います。とすれば、これ はトンビにとって大変大きな生活変化が進行していることを意味しているでしょう。ひいては私たちは今、一つの動物種の進化の現場に立ち会っているのかもし れないのです!
以上は、私の限られた観察からほとんど妄想的にふくらませたストーリーに過ぎないのですが、トンビのこの増加と、ユリカモメの減 少について、動物行動の専門家の意見を聞いて見たいものです。このままこのトンビを放置すれば、ユリカモメはやがて京都から姿を消してしまう恐れはないで しょうか。また、トンビと同様に街に数を増やしているカラスとトンビとの関係はどうなのでしょうか。疑問は尽きないのです。

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