ビリケンは通天閣のご本尊?
今回は、京都を離れて大阪を取り上げましょう。
先日、動物園が異様に好きな友人に付き合って、大阪の天王寺動物園へ行ってきました。ついでに通天閣に登ってきました。ここにあのビリケンさんが居るということは関西では有名なことですが、私はまだ本物のビリケンを見たことがなかったので、ちょうど良い機会です。さっそく展望台に登ると、あったあった、ありました。本家本元のビリケンさんです。
木でできた、実に不思議な顔をしています。この像の下に「ビリケン由来記」が掲げてあります。それによると、
「ビリケン(BILIKEN)は、1908年(明治41年)アメリカの女流美術家 E.I.HORSMAが奇怪な神の姿を夢見て作った像で
当時のアメリカで大流行したものです。
明治45年新世界にあったルナパークにビリケン堂を造りビリケン像が安置されていた。
ビリケンは新世界の名物となりビリケンまんじゅうビリケン人形などの土産も売られて世界的な流行をみました。
ルナパークの閉鎖とともに行方不明になっていましたがこの度新世界の復権を願って元の像を探しだし安置したものです。」
ということです。「ルナパーク」とは、どんなモダンな遊園地だったのでしょう。とても興味が湧きます。ビリケンまんじゅうにも食指が動きましたが、現在では売店を見てもなさそうでした。
またビリケンの台座には、次のような文字が刻み込まれています。
「THE-GOD-OF-THINGS-AS-THEY-OUGHT-TO-BE」
「物事があるべき姿になるような神様」ということになるでしょうか。
そんな所へ、一人の女性がきて、ビリケンさんにお祈りを始めたのです。それも他の人たちがいることなど全く眼中にない、といった風情で、熱心にビリケンさんの足の裏をコチョコチョとこそばすようにして、五分間ほどもその女性は祈り続け、すたすたと降りていったのでした。実は、このビリケンさんに願をかけるときには、足の裏をこそばしながらするのが「正しい」願の掛け方らしいのです。写真から足の裏のこすりかたの要領は解っていただけると思います。そういえば、木製のビリケンさんの足の裏はかなり擦り減っているのがわかります。これほどの多くの人々に熱心に足の裏をこそばされ願を掛けられているビリケンさんは、知れば知るほど、聞きしに勝る不思議な神様なのでした。
ふと見ると展望台から降りてくるエレベータの天井には、ビリケン星座が輝いていたのでした。