睡蓮池はいそがしい?

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先日、平安神宮の庭園に行ってきました。平安神宮と言えば、見事な枝垂れ桜が有名ですが、五月の終わりから六月にかけてこの季節、この庭園では様々な花が咲いて、我々を楽しませてくれます。アヤメやカキツバタ、コウホネや睡蓮など池の中に咲き競う姿は、この季節ならではのものです。特に、私は睡蓮が好きなので、それを目当てにやってきたのでした。その期待は見事に報われたのでした。

私が睡蓮を好きになったのは、昔パリのオランジェリ美術館で、楕円形の部屋のすべての壁を占める巨大なモネの睡蓮に取り囲まれ、時間の経つのを忘れて佇んでいた経験がある、ということからかも知れません。
残念ながら京都には、睡蓮の咲く池はあまり多くはありません。その中で、平安神宮の池は一番みごとなものです。

こうやって、写真で見ると静謐に感じられる睡蓮の池ですが、池の中はコイたちがいそがしそうに盛んに泳ぎ回って、あちこちに水の盛り上がりをつくっています。睡蓮の池は活気に充ち、生命の躍動を感じさせられるのです。



この飛び石は「臥龍の橋」と名付けられています。

この睡蓮を注意深く見ると、花々が環状に並んでいるのが分かります。その上、中心に一輪咲いているのです。
このことは、池の中に円形に広がる睡蓮の花と葉は、同じ一株に由来していることを示しているようです。
(キノコの輪舞の場合と考え合わせると興味があります)

この庭園はやがて、皐月がさき、アヤメが満開になり、華麗なすがたを見せて続けてくれるでしょう。


珍しい種類の杜若。
『折鶴』と名付けられこの花は光格天皇の
愛したものということです。

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